埼玉織物の歴史 第6章
第1 節 ラムザタワーオープン
ラムザ竣工、事務所移転
着工から2年半、平成10年(1998年)5月にラムザタワーが竣工した。5月22日に各部屋の引き渡しがあり、その後、事務所は川口の仮事務所からラムザへ移転した。
移転に先立ち5月1日に理事会を開催し、定時総会での審議事項を協議・承認した。6月1日の定時総会は「新ビル取得完成記念」も兼ねて、熱海大観荘(静岡県)にて開催された。
平成10年度の事業計画案では、冒頭で「本来の織物事業は時代の流れと共に当分縮小の方向を歩み、新たな事業として賃貸業務を当組合の大きな柱とし、その維持、運営により、本年度を始点として組合の収益向上を計るため、組織づくり・運営方法の改良を進め、組合の確立を図る」と述べ、具体的には、「①5月22日、新ビルへの移転 ②休眠状態から賃貸業務への組織づくり ③賃貸業務運営の確立 ④資産運営の立案と実施」を挙げた。同予算案では、「①配当金は10%の線で諸法規を調査中 ②組合費1万円 ③定款変更(事業目的に賃貸業務を追加及び出資金譲渡し制限等) ④理事会出席手当変更」等々について話し合われ、各審議事項を満場一致で承認した。
10月24日には、浦和東武ホテルにて改めて盛大に「祝賀会」を開催した。石田勝之氏(105頁参照)、中村前々理事長、関口前理事長に対し、これまでのご尽力に感謝の意を表し、全組合員で当組合の新たなスタートを祝した。
新事業開始、配当金支払い実施
すでに第5章で述べたように、ラムザ移転後の当組合の主たる業務は、事業床5室、住居床10室の賃貸管理業務となった(うち1室は当組合事務所)。
事業床月額賃料は、坪単価13~14万円。埼玉県から事業床入居辞退の連絡があってから、急遽、営業・募集を行った結果、平成10年(1998年)5月27日の建物引渡し前の3月末日にはすべてのテナントの入居が決まった。
住居床(マンション)月額賃料(一般)は14~16万円とし、組合員の場合は、一般賃料より10%割引、礼金なし、とした。平成10年4月から募集を開始。まずは組合員の希望を募り、次いで一般公募をした結果、7月までの全室の賃借人が決まった。
平成10年11月の理事会で土屋理事長から「総括的には利益が出る予定。今後どのようにすべきか、組合員への還元について、理事会に持ち寄ってもらいたい」とのことで協議を重ねた結果、利益の使途は組合員への還元を優先し、順次実施していった。
その後検討を重ね、平成14年(2002年)12月にこれまで組合員によって異なっていた出資證書の額面を基本的に1枚30万円(3000口)の証券とすることを決定した。配当金は出資金(出資證券額)の10%、功労金を同30%、年1回実施することとした。
融資制度等発足
さらに平成15年(2003年)2月、低金利による組合融資制度を発足させた。翌年には融資額を増額、平成16年度末までに多くの組合員へ融資を行った。
こうして、組合独自の配当金や融資制度を立ち上げ、運用すると共に、他社の福利厚生制度を活用するなど、組合員への還元を優先的に行ってきたが、一方で金融機関への預貯金、埼玉県債などの購入など、将来を見越しての資産管理についても慎重に取り組んだ。